有限会社サンエナジー

メッセージ/お知らせ

「建築設備工事、施工管理のミニ知識」

2年ほど、沈黙していました。その間に「未経験者を採用して技術者に育てる」を実践していました。今回は沈黙していました2年間の、弊社の試みで得た事をご紹介します。
最初は、施工現場で活躍できる、施工管理技術者の育成を目的に採用して見ましたが、残念ながら人材を確保する事は出来ませんでした。但し、1名は育ちましたが、あんまり優秀過ぎて、大手ゼネコンさんに、引抜かれてしまいました。(これは本人の努力の結果ですから、弊社も応援させて頂きました。)
この事から、転職市場で施工管理技術者を確保しようと考えるのは、ほんの一粒の奇跡を期待する事でしかないことを痛感させられました。
次に、現場の施工管理者ではなく、施工図を描くCADオペさんなら、希望する能力を持った人を集められるのかな?と思い求人して見ました。
応募者が多数来ました。しかし、CADオペとしての募集でしたので、結構勘違いが多くて、お断りするのが大変な作業でした。パソコンでCADの操作が出来れば仕事になると思われたようで、簡単そうに見えたのでしょう。「CADで図面を描く事は、すなわち施工管理技術者の知識を必要とする事です。」
未経験の多くの知識を身に着ける能力のある人達は、結局、高学歴の方々でないと無理でした。現在、弊社に残った3名も、短大卒以上の学歴を持った人達です。石にしがみ付いても、やるぞとの強い意志を持った人なら、高学歴者でなくとも可能です。それは前述の大手ゼネコンに引抜かれた方が証明してくれました。
しかし、それは奇跡的な出会いで、それを期待していては人材を集める事は出来ません。経験豊富な技術者を転職市場で確保する事を、期待する事は出来ません。技術者を増やすには、大量の情報を一気に処理できる能力を持った人をスカウトして、自社で教育して育てるが、今出来る最善の方法だと思います。
そんな中で、弊社のCAD講習を受講され、第一線で活躍されている方が現れましたので、ご紹介いたします。

No.10「必要とされるCAD講習」

2019.05.16

前述しましたが、「CADで図面を描く事は、すなわち施工管理技術者の知識を必要とする事」です。この事を知っている方から、昨年暮れに、弊社のCAD講習を受講したいとの申し込みがありました。弊社のホームページを見ての初めての応募者です。とてもうれしく思いました。

この方は建築科卒業で、以前はAutoCADで仕事を行っていましたが、建築図面も3D化の流れで、客先より建築設備の3D施工図を描くTfasの操作を依頼されたとの事です。
しかし、依頼先の会社には、CADを操作できる方は誰もいません。ましてやTfasは自分もさわった事はありません。つまり、だれも出来ない事を依頼されたわけです。そこでCADメーカーの講習を段取りしてもらい。受講してみましたが、これだけでは、全く建築設備施工図を描けるようになれるとは思えないと感じ、ネットを検索して弊社のホームページにたどり着いたとの事でした。
どうして、設備施工図をやろうと思ったの」と聞くと、「AutoCADで建築図を描く人は大勢いるが、Tfasで設備施工図を描ける人は少ない。だから、設備施工図が描ければ、仕事量と高収入を確保出来る」と、的確な返答を頂きました。(この業界をよく知っている方です。)
「CADで図面を描く事は、すなわち施工管理技術者の知識を必要とする事」だから、実際に設備施工図を描いている会社と繋がりを持って、施工管理技術者の知識と技術を手に入れるようと思い、当社に声を掛けたとの事です。(現在は、全国大手の設備施工会社から、大型物件の施工図を請負って、在宅で作図を行っています。ちなみにこの方は、主婦で子育て中です。)

もう一例、ご紹介いたします。地場の設備工事の配管屋さんから、CAD講習の依頼を受けて、TfasのCAD講習をさせて頂きました。最初に問い合わせを頂いてから、半年以上過ぎてから正式に依頼を受けました。
講習を受けに来られた方は、社長と共に会社を支えてきた熟練の配管工の方です。
「どうして、CADを覚えようと思ったのですか」と、問いかけましたら、人に頼んで図面を描いて貰っては、「ここ違うから、直してください。」を何度も繰り返すことが多いので、自分たちで図面を描けるようになろうと、社長が決断されたとの事でした。
弊社では、施工図を描くための段取り作業から、講習で教えています。配管工の職人さんですから、「仕事をするには、まず段取りが必要」をよく知っています。職人さんだから、実際の配管作業と、3Dで描く施工図の作図手順が同じである事に気付いて、難なく技術取得をしていただけました。
1度の講習だけでは、なかなか思い出せない事もありますので、忘れたら「ここどうやるんだっけ」と、電話をしてもらう約束をしています。自分たちで、施工図が描ければ、手直し作業が減り、コストダウンに繋がり、利益も増えます。また、図面と工事を同時に受注することで、売り上げも上がる事でしょう。

技術者不足の今、技術者を増やす取り組みは、私たちのような小さな会社から始まっています。CAD講習は、技術者と技術者をつなげる有効な手段の一つです。CADの操作だけ知っていても、施工図はかけません。その先の施工管理技術の伝承を、CAD講習を通して行う事。CAD講習と言う小さな一歩の積み重ねが、技術者を増やす近道ではないかと、弊社は感じています。

最近、東京・大阪の会社からCAD講習の問合せがあります。皆さん困っているようです。しかし、問い合わせをしてくる会社さん、やはり勘違いしていらっしゃいます。CAD講習はCADの操作を教えるだけでは、ダメです。施工技術も教え、長い御付合いが出来る状況を作らないと、目的とする技術者の育成は出来ません。皆さん、そろそろ気が付いて頂けるといいのですが、技術者は育てる人がいないと決して増えません。技術者不足を解消するには、「技術者を探す」ではなく、「技術者を育てる人を探す」だと、気づいて頂けたら幸いです。