No.10「必要とされるCAD講習」
2019.05.16
前述しましたが、「CADで図面を描く事は、すなわち施工管理技術者の知識を必要とする事」です。この事を知っている方から、昨年暮れに、弊社のCAD講習を受講したいとの申し込みがありました。弊社のホームページを見ての初めての応募者です。とてもうれしく思いました。
この方は建築科卒業で、以前はAutoCADで仕事を行っていましたが、建築図面も3D化の流れで、客先より建築設備の3D施工図を描くTfasの操作を依頼されたとの事です。
しかし、依頼先の会社には、CADを操作できる方は誰もいません。ましてやTfasは自分もさわった事はありません。つまり、だれも出来ない事を依頼されたわけです。そこでCADメーカーの講習を段取りしてもらい。受講してみましたが、これだけでは、全く建築設備施工図を描けるようになれるとは思えないと感じ、ネットを検索して弊社のホームページにたどり着いたとの事でした。
どうして、設備施工図をやろうと思ったの」と聞くと、「AutoCADで建築図を描く人は大勢いるが、Tfasで設備施工図を描ける人は少ない。だから、設備施工図が描ければ、仕事量と高収入を確保出来る」と、的確な返答を頂きました。(この業界をよく知っている方です。)
「CADで図面を描く事は、すなわち施工管理技術者の知識を必要とする事」だから、実際に設備施工図を描いている会社と繋がりを持って、施工管理技術者の知識と技術を手に入れるようと思い、当社に声を掛けたとの事です。(現在は、全国大手の設備施工会社から、大型物件の施工図を請負って、在宅で作図を行っています。ちなみにこの方は、主婦で子育て中です。)
もう一例、ご紹介いたします。地場の設備工事の配管屋さんから、CAD講習の依頼を受けて、TfasのCAD講習をさせて頂きました。最初に問い合わせを頂いてから、半年以上過ぎてから正式に依頼を受けました。
講習を受けに来られた方は、社長と共に会社を支えてきた熟練の配管工の方です。
「どうして、CADを覚えようと思ったのですか」と、問いかけましたら、人に頼んで図面を描いて貰っては、「ここ違うから、直してください。」を何度も繰り返すことが多いので、自分たちで図面を描けるようになろうと、社長が決断されたとの事でした。
弊社では、施工図を描くための段取り作業から、講習で教えています。配管工の職人さんですから、「仕事をするには、まず段取りが必要」をよく知っています。職人さんだから、実際の配管作業と、3Dで描く施工図の作図手順が同じである事に気付いて、難なく技術取得をしていただけました。
1度の講習だけでは、なかなか思い出せない事もありますので、忘れたら「ここどうやるんだっけ」と、電話をしてもらう約束をしています。自分たちで、施工図が描ければ、手直し作業が減り、コストダウンに繋がり、利益も増えます。また、図面と工事を同時に受注することで、売り上げも上がる事でしょう。
技術者不足の今、技術者を増やす取り組みは、私たちのような小さな会社から始まっています。CAD講習は、技術者と技術者をつなげる有効な手段の一つです。CADの操作だけ知っていても、施工図はかけません。その先の施工管理技術の伝承を、CAD講習を通して行う事。CAD講習と言う小さな一歩の積み重ねが、技術者を増やす近道ではないかと、弊社は感じています。
最近、東京・大阪の会社からCAD講習の問合せがあります。皆さん困っているようです。しかし、問い合わせをしてくる会社さん、やはり勘違いしていらっしゃいます。CAD講習はCADの操作を教えるだけでは、ダメです。施工技術も教え、長い御付合いが出来る状況を作らないと、目的とする技術者の育成は出来ません。皆さん、そろそろ気が付いて頂けるといいのですが、技術者は育てる人がいないと決して増えません。技術者不足を解消するには、「技術者を探す」ではなく、「技術者を育てる人を探す」だと、気づいて頂けたら幸いです。