有限会社サンエナジー

メッセージ/お知らせ

「建築設備工事、施工管理のミニ知識」

大手の施工現場から、地場の施工現場に移り、違う環境で仕事をすると見えてくるものがありました。
大手で仕事をする私たちが毎日当たり前だと思っていて作っていた図面、当たり前ではありませんでした。
設計事務所の担当者の方々は設計の専門家ですので、CADで図面を見書きする事は当たり前と思っていましたが、実はCADが使えない方がほとんどのようです。
確かに大手の現場でも設計事務所に提出するデータはCADデータではなく、画像データのPDFでした。
これでは現場との温度差がありすぎます。 打合せで、わかっていると思って話している内容が、実は見えていないと言う、ズレに直面します。
このズレによって、現場の仕事量が何倍にも膨れ上がり、人手不足に拍車を掛けます。

No.9「難しくなる施工管理」

2017.07.04

人手不足で職人が足りないは、誰もが理解できる事でしょう。
しかし、人手不足で、「設計者・監理者が素人化している」は、ほとんどの方が理解できない事でしょう。
でも、それが現実です。 完成度の低い設計図。 専門家ではない施主様は見抜く事は出来ないでしょうが、現場はそうはいきません。 施工会社は昔から責任施工を求められます。
つまり、施工者は設計図の欠陥を見抜いて修正して、建物を納めないと、施主様からクレームが入り手直し工事を要求されます。 注文の設計図通りに施工しただけなのに、欠陥の責任は設計者ではなく施工者に向けられます。 設計の欠陥なのに、不具合は工事の欠陥とされます。
「どうしてくれるんだ」と、設計者に詰め寄る施主様を見たことがありますか? 私はありません。
いつも見かけるのは、出来上がった建物を見てから、施工会社の所長を怒鳴りつけている施主様です。
施主様にとっては、設計図に何が書かれているかは、どうでもいいのです。
なぜなら、見てもわからないから、わからないものにクレームはつけられません。
施主様は設計図を求めているのではなく、建物を求めています。建物を造るのは施工者です。
出来上がる建物の良し悪しは、現場の施工管理技術者の技量で左右されます。
設計事務所の担当者は設計者で、スーツに白いワイシャツを着て、施主様から先生などと呼ばれて信頼されています。 一方、現場で設計図の不具合を見つけて、修正して性能のいい建物を造ろうと、朝早くから、夜遅くまで必死に施工図面を描いて、施工管理をしている施工会社の施工管理技術者は、作業服を着てヘルメットを被っているので、決して施主様からは先生とは呼ばれることはありません。
掛けられる言葉は、「ご苦労さまです」。 何かズレを感じませんか?
技術は現場にあります。 前述した「設計者・監理者の素人化」では、現場の技術者への依存度が高くなって来ています。 現場の施工管理技術者には、ますます高い技術レベルと豊富な経験を要求されます。

しかしながら人手不足の現状では、現場でも「施工管理技術者の素人化」が進み、レベルの高い技術者を確保する事が難しくなっています。
派遣会社に電話して、設備の技術者を求めても、即答で「いません」と返ってきます。
前回、技術者を育てる提案をしましたが、「今スグに必要」では時間の壁は超えられません。

コンストラクションマネジメントとは、施工管理技術者が行う業務の事です。
設計者が完成度の低い設計図を納めても、それをとがめる施主様はほとんどいないでしょう。でも、施工者が不具合のある建物を納めたら、施主様は烈火のごとく、とがめる事でしょう。もう、お分かりかと思いますが、施主様が打合せをする相手は、施工会社の施工管理技術者です。施主様が直接、施工管理技術者を使うと、コンストラクションマネジメントが機能して、質の良い建物を手に入れる事が出来ます。

現場も設計も人手不足であえいでいる今だからこそ、施主様が意識を変えて現場が見える施工監理を行う事が不可欠となります。
弊社では、「今スグに必要」の要求に応えるには、これまでとは違う手法を取入れなくてはならないと考え、施工管理技術者交流オフィスを開設いたしました。