有限会社サンエナジー

メッセージ/お知らせ

「建築設備工事、施工管理のミニ知識」

これまでにご紹介した6回のメッセージは、これから建物を建てようとする方々に向けて、書かせてもらいました。建築工事の施工監理の問題点、ある程度は認識出来た事かと思います。
次は、どうやって解決していこうかが、テーマになって来ますが、皆様が頭を抱えている技術者不足について、現状を認識し、解決策を検証していきたいと思います。

No.7「技術者不足の現状からの脱皮」

2016.05.18

まず、現状を認識してみる事から始めましょう。
昨年の暮れに我家の暖房用ボイラーの交換工事を、地元の設備屋さんに施工して貰いました。
22年間使ったセントラルヒーティング用のボイラーでしたが、昨シーズンの使用で限界に達したと判断して、夏のお盆明けに予約を入れて、工事が完了したのが12月の中でした。
工事の順番待ちです。地元の設備屋さんは、そんなに仕事があって儲かっているの、と思うでしょうが違います。人がいなくて対応出来ないのが現状です。
住宅の設備だって、いつかは更新しないと、生活が出来なくなります。地元の工事屋さん、無くなったら大変困ります。このままでは、工事をしてくれる会社が無くなってしまいます。

次に、大型物件の工事現場を見てみましょう。
大型物件を受注出来るのは大手の工事会社です。価格競争が厳しく体力のある会社しか工事を受注できません。経費を削り、いかに少ない予算で工事を行うかの消耗戦です。とても、新入社員を増やし、技術者を育成していく余裕などありません。ひと現場に正社員が2人程度、後は外注で対応しています。外注は即戦力となる人が要求されます。即戦力=経験がある人=年配者となります。ここでも高年齢化が進み、後10年もすると今現場いる経験豊富な技術者はいなくなってしまいます。熟練の技術者がいなくなると、工事でのミスが増えたり、不具合に気付かなかったり、結果として申し訳のない建物が生まれます。
もう、我社は、我社はと競い合う時ではなくなっています。業界が一つにまとまって、後継者を育てる事が必要です。地場の小さな会社も、全国規模の大手会社も、お互い協力しあえる形を考えて見ましょう。

公共事業の建築工事では、JV(特定建設共同企業体)が組まれます。全国規模の大手会社+地元会社の組合せとなります。これは税金を使うので、地元にお金が回るようにと配慮された形ですが、本来は大規模で高い技術力を必要とする工事を施工する事を目的に組まれます。つまり技術者育成の面からみても、全国規模の高い技術を地方の中堅会社も共有できるようになる仕組みです。
JVには、もう一つ地元の中堅+中小の組合せの経常建設共同企業体があります。
JVとは、ジョイントベンチャーの略ですが、ジョイントと言う言葉に「技術者不足からの脱皮」のヒントが見えてきませんか。
人手不足で困っている親会社が、「ジョイントだからお前のところからも人を出せ」と言うのでは困ります。それは愚の骨頂です。「企業と企業とのジョイントで人を育てる」これがキーワードになります。
では、どうするのか?答えを見出す為には、まずはマーケティング。現状を把握し、建物を建てる発注者も、工事を請負う施工者も共通の認識を持つことから始めましょう。

平成27年度の国勢調査の結果が出ましたが、やはり東京一極集中で、地方の衰退が顕著に表れています。その反面、建設現場にいる若い人たちは、親の事を考えるといつかは地元に戻りたいと思っていますが、「でも地元に戻っても仕事は無いし、どうしたらいいのだろう」と悩んでいます。

一方、雇う側の地元の建設業界の現状はどうでしょう。
人手不足なら仕事が多いのではと思うでしょうが、現状は仕事が減少しています。
北海道中小企業団体中央会が発表した(弊社は北海道の会社なのでローカルな情報で申し訳ありません。) 平成26年の「道内中小企業の廃業等に関する実態調査結果について」を見ると、建設業では倒産に対し自主廃業件数が、9.7倍となっています。自主廃業の要因で最も多いのが後継者等の人材難、2番目が販売不振・受注減少、3番目が先細り感、とでています。
「将来的にも、受注が見込めないので、人は雇えない。俺たちが働けなくなったら終わりにしよう。」が、現実なのでしょうか。
人が生きていくのに必要な、衣食住の住を守ってくれる人たちがいなくなってしまうのです。「もうこの町では暮らせない、都会に行こう」となってしまうのではありませんか。でも、都会に行ったからと言っても、暮らしが豊かになりますか。自主廃業するまで働ければいいですが、子供達はどうします。働く場がなくなります。

建設業界全体としては、仕事量は確かに減っています。しかし、人手不足で業務に支障が出ているのも現実です。
大手と中小の企業間で、技術者のジョイントが組めないでしょうか。地域に根差した人材育成。大手企業と地域企業との間で技術者の交流が出来れば、それも可能になるのではないでしょうか。
地域の設備工事会社と全国規模の設備工事会社が同等の施工管理技術を持てれば、技術者の連携が可能になります。弊社は、大規模現場での施工管理の実績も、地域規模の現場での施工管理の実績もあり、どのような技術を持てば、地域の設備工事会社が全国規模の設備工事会社と肩を並べる技術を持てるかを知っていいます。弊社はその橋渡しが、出来ないだろうかと思います。
技術者不足からの脱皮を考える上で、全国規模の大手企業と地域の企業との技術者の交流が不可欠ではないでしょうか。大規模現場も小規模現場も必要とされる技術は基本的には同じです。
施工管理の基本は「施工図」です。施工図が描けなくては、良い建物は出来ません。弊社は、大規模現場で要求される施工管理での施工図の描き方を、必要している技術者に伝える場を設けます。(詳しくは、弊社ホームページの「お知らせ欄」に掲載しますので、ご覧ください。) 1社では出来ないことも、2社3社と協力しあえれば可能になります。技術者不足からの脱皮は、業界の活性化につなげる企業間の技術者交流が糸口になります。企業間協力が、解決のキーワードです。