有限会社サンエナジー

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「建築設備工事、施工管理のミニ知識」

第2回目のテーマとして、「プロット図・施工図」についてお話します。

No.2「プロット図・施工図」て何?

2015.06.03

昨年、「建設中の高級マンションが、工事の不具合により販売中止になり、建替え決定」との記事を見ました。超一流の設計事務所、超一流のゼネコン、超一流の発注者。誰もがなぜと思う記事です。

記事の詳細を見ると、600カ所ものスリーブが無く、後で、構造体に穴をあけた事で、耐震性に不具合を発生させた為のようです。スリーブとは、ダクトや配管を通す穴の事で、ダクトや配管がコンクリートの構造体を貫通する場所にあらかじめ、 穴の周りに補強の鉄筋をいれて貫通口を造ります。コンクリートを打たれた後に、穴をあければ、鉄筋を傷つけなくても、補強が入っていないので、当然強度不足になります。

この事件、ネットに匿名で書きこみがあり発覚しました。 もしこのような不具合を持った建物が販売されていたらと思うと、とても怖いですね。ネットに書きこみが無かったら、発注者はこの不具合に気づけたでしょうか?工事関係者はわかっていたが、気づいた時には工事が進み過ぎて後戻りできなかったのでしょう。

この不祥事では、設備のプロット図が無くて、配管のルートが分からなく、設備の施工図にスリーブが記載されていない為に、誰もが気付かずに、躯体工事が進んだ事になります。設計変更で、後で変わった為に生じたのか?施工図作成時の描き忘れなのか?は、この記事ではわかりませんが、表面に出てこない「設備の工事」は建物の根幹を揺るがしかねない重要な要素になっています。

このような不祥事を起こさない為に、なくてはならないものが、プロット図・施工図ですが、設計図が有るのに、「なぜ別な図面が必要なの?」と思いませんか。 特に、機械科を卒業した機械系の技術者の方々は、建築工事に携わるとこの落とし穴にはまります。

建築設計の設計図は、コンセプトをまとめた「監理」の作業指示書です。したがって、実際に建物を造る工事をする為には、建物の骨組みを表した構造図・建物のデザインを表した意匠図・建物に必要な空調・給排水設備を表した設備図・建物が必要とする機械の動力電源・照明・警報を表した電気図を合体させて詳細な配置を検討し、纏め上げた詳細配置図=プロット図が、最初に必要になります。

この図面を描くのが「管理」です。つまり設計屋(設計事務所)ではなくて、施工屋(工事会社)が行う「施工管理」の仕事です。一般の方は、図面は設計事務所が描いて、工事会社がその図面を見て作業していると思ってしまいますが、建築工事では、設計図以降の図面はすべて工事会社の現場担当者が描いています。建築設計図は、2次元表示の線で表現されています。これでは、実作業が出来ないので、工事会社の現場監督員が、3次元で見る事が出来る詳細な作業用の図面を描きます。これが施工図です。

現場監督員=作業服を着て、ヘルメットをかぶった、ホコリまみれの、汗臭い、おっさんですが、実は国家資格の施工管理技士の資格をもった技術者です。高い技術と多くの経験がないと務まりません。だから、この部分の技術者が常に不足しています。3K・長時間労働の劣悪な作業環境での仕事です。若い世代が嫌い、辞めていき、技術者の高齢化が目立ちます。「コンストラクションマネジメント」とは、この部分をサポートして、建築工事の品質改善をする為に生まれた「施工管理」の手法です。

「監理」任せでは無理です。「管理」を強化する、発注を行ってください。